2012年11月6日火曜日

Google Nowは旧来の検索をどの位カニバるのだろう?

Google Now
Google Nowはユーザー検索行動を取る前に、ユーザーに代わってintentを自動的に情報に変えてくれるという、今はYahoo!に移ったマリッサ・メイヤーが“the perfect search engine”と呼んだというものです。都度聞きたいことを音声で問い合わせる必要があるSiriの上をいこうと、検索履歴を使ったり、ユーザーに提供希望データを登録させるなどしてバーチャルアシスタントとしての精度を上げていこうとしているのがわかります。これも大量データの高速処理が可能になったビッグデータ時代の成せる業なのでしょう。

僕のNexus 7にも搭載されていて、ふーんと思っていたのですが、設定してみると意外と便利かもしれないと思い始めてきています。






サンプルカード
カードと呼ばれる情報ブロックがあります。Googleはこれをヘルプでは「Google Nowカードは、必要になるときにちょうどいいタイミングで表示される有益な情報のスニペットです。」としています。スニペットというところがいかにも検索っぽいですw(検索エンジン野郎な自分とすると響くポイントです。でも、そう言われると検索行動の前に検索結果を表示してるんだな、という検索のバーチャルアシスタントである点も理解できます)

設定できるのは交通状況、場所、天気、公共の交通機関、フライト、スポーツ、次の予定、翻訳、通過、自宅の時間など。表示するものしないものの設定、何を表示させるかの設定も可能です。



結果表示
カードの種類も増えるのでしょうね。つまりスマホやタブレットで検索しよう!と思っていつものように検索バーに打ち込もうと思ったら、その下に欲しい情報があった!という感じか、慣れた人はGoogle Nowに行けば欲しい情報があると分かっているから検索バーをすっ飛ばしてカードを見にいく、というのが理想的な活用のされ方でしょうか。

ちょっとおもしろい取り組みですね。旧来の検索をリプレースするほどの力はないと思われますが、欲しい情報の種類を取捨選択したい(assisted personalizationとでもいいますか)、ここに出てくる情報で結構事足りる、というユーザーはそれなりに出てくるかもしれないです。今後の進化に大いに期待です。







【情報ソース】

“Google Now” Moving Well Beyond Search, Becoming Mobile Assistant
http://searchengineland.com/son-of-search-google-now-transcends-search-138578

2012年10月31日水曜日

統合キャンペーン管理プラットフォーム概要

2012年10月30日のad:tech tokyo 2012のロックオンさんのブースで、統合キャンペーン管理プラットフォームの概要についてのパネルセッションをやらせていただきました。



現在の統合キャンペーン管理プラットフォームはリスティング広告で「自動入札ツール」
と呼ばれていたものが拡張、進化したものです。

30分の短いセッション用の資料なので非常に内容は薄いですが参考まで。


2012年9月30日日曜日

データフィードマーケティングの重要性

データフィードとは?
データフィードとは、あるデータのデータ元からデータ受取先へ更新されたデータを送受信する仕組みである。元々ITシステムではデータの受け渡しによく使う方法の一つで、データ形式や通信プロトコルさえ双方で決めておけば手軽にできることから、非常によく使われている方法であると言える。

データフィード,データフィードマーケティング

ちなみにウェブ上でのデータフィードのことをウェブフィードとも言う。以前から一般ユーザーにもおなじみなのはニュースフィードやウェブ、ブログの最新投稿などを受け取るRSSフィードあたりである。最近はFacebookでニュースフィードという言葉を見る機会も増えたので「フィード」というのは何となく聞いたことがある人も多いだろう。

データフィードはある意味上位概念というか総称で、その下にいくつかの種類のフィードが存在する、ということだ。

その観点から行くと今私のほうで推進しているのはデータフィードの中でもとりわけプロダクトフィードである。プロダクトフィードはEC事業者を中心に、デジタルマーケティングの世界で非常に重要な取り組みになっているのをご存じだろうか?

プロダクトフィードについて解説したいと思うが、言い回しが違う同義の言葉が出て混乱するので以降「データフィード」で統一したいと思う。


データフィードとは?なぜ重要か?
データフィード(プロダクトフィード)は何かというと商品データベースの情報をシステム間接続やマーケティングのために様々な形で外部利用するためのものだ。このコラムではマーケティング外部利用にフォーカスして話そうと思う。

商品データベースには様々な情報が含まれることが多い。商品名、商品ジャンル、商品コード、価格、送料、商品画像、在庫数などなど。

ECサイトであれば商品の情報はかなりの部分はウェブ上でも公開しているだろう。
多くの企業はその商品が売れるために様々な網を張っているはずだ。

外部のECプラットフォームに出店しているだろうか?
ショッピング比較サイト/エンジンには情報を出しているだろうか?
リスティング広告はやっているだろうか?
ディスプレイ広告はやっているだろうか?
アフィリエイトはやっているだろうか?

こういった先に出す情報はほぼ同じなのに、それぞれの登録にかなりの手間をかけていないだろうか?

しかも出し先のメディアはどんどん増えている状況だ。まさにメディア・フラグメンテーション(消費者が接触するメディアが断片化していること)の時代。これからもどんどん増えていき、一つ一つの消費者の密度は希薄化するが、企業としては広く網を張らないと消費者はさらに獲得しづらくなる一方だ。

また商品データベースは変化が激しい。商品点数が多岐にわたるEC事業者はそもそも何千、何万と情報がそもそも多い上に、新しい商品やバリエーションは日々追加され、既存商品の価格も変わる。在庫は絶えず変動し、在庫切れした際には販売もプロモーションも止めないといけない。つまり情報の更新性をかなり求められるのだ。これを手作業でやるとスピードに追い付けないため網も広げず、古い情報が出ることによって消費者の満足度も低下する(「ネット広告が出てたからクリックしてサイトまできたのに在庫切れって売る気本当にあるの?」という例はわかりやすい)。

つまり、広くスピーディに、かつ効果的に消費者にリーチするためには自動化、効率化が必要となってくる。

こういった理由でデータフィードが重要になるのだ。


データフィードで何ができるのか?
アメリカなど海外では在庫連動型のリスティング広告入稿管理などは10年前から大手広告主はほぼ当たり前に実施している。商品データベースのデータから使えるフィールドを抽出してキーワードを生成(「商品名_地域」など掛け合わせ系ワードも自動生成)し、新商品が出た際などは商品データベースに追加されたらすぐに広告に反映できる。広告文はテンプレートに商品名、価格、在庫数などを流し込む。価格(50,000円から)や在庫数(あと2セット)など数字情報が広告文にあると多くの場合、効果が高い。URLもトラッキングコードのルールを決めておけば自動的に生成可能でいちいち手動で付与し入稿する手間が省ける。また、在庫数がゼロになったら広告配信を止めることで無駄なクリック/コストを削減し、不満足な顧客を作るのを避けることができる。

また、検索エンジンによるクロール→インデックス登録に時間がかかっていた頃、自然検索の結果に早く反映されるように有料でインデックスに登録するペイド・インクルージョンというサービスが一時期Yahoo!などで存在した(日本では未実施)。このサービスはやはり新しい商品情報を早く検索エンジンに反映させたいEC事業者には人気があり、商品情報が大抵の場合多いため、データの登録は検索エンジンにデータフィードで登録する形をとっていた。この頃(2000年初頭)から米国にはデータフィード登録事業者なるものが存在している。現在も元Overure出身者が活躍しているDataPopなどは元々ペイドインクルージョンに特化したデータフィードソリューションプロバイダーだ。

リスティング広告、自然検索、シッピングサーチなど、検索エンジン寄りのソリューションだったのが、ここ数年で最も注目を浴びているデータフィード活用型施策はCriteoだろう。Criteoはパーソナライズドリターゲティングを標榜しており、一度商品情報を見た人に対して、その商品情報(写真など含め)をダイナミックに広告に挿入し、のリターゲティングをかけるという画期的なものだ。実際に効果も高いと評判も高い。Criteo広告を出すためにはデータフィードの構築が必要になってくる。



データフィードでは、上記のリスティング広告、ディスプレイ広告の他、ECサイト、アフィリエイト広告、ショッピングサーチ/比較サイトなどに自動的にデータを登録し、更新させることが可能になる。


どんなツール/ソリューションがあるのか?
アメリカでは前述のDataPopの他、Edgenet、GoDataFeedなどが有名だが、日本にも同じような機能を提供するデータフィード特化型ソリューションが日本でも出てきている。フィードフォースTAGGYコマースリンクのデータフィード最適化ソリューションである。これらはカバーしている施策が広いし、データフィードの自動投稿に特化しているため価格も比較的安価である。

統合キャンペーン管理プラットフォームもリスティング広告を中心に、管理できる施策を徐々に増やしている。若干エンタープライズ向けのソリューションが多いのと、その他の機能もかなり充実はしているため、トータルソリューションを求めている企業向けと言える。


データフィードの課題
長くデータフィードに関わっていて、課題は大きくは二つ。

一つは商品データベースへのアクセスの問題。商品データベースは多くの場合IT部門の管轄で、なかなか外部利用のためと言っても大事なデータにアクセスさせてくれない。マーケティング部門におけるITの知識が低いため、交渉するにも難しいというケースも多く見受けられる。これからはマーケティングとITがかなり密接に連携していくことがますます必要になってくるので、最低限のITの知識を持ち、ITチームとの交渉能力が問われるようになってくる。

もう一つは商品データベースの中身の問題。往々にして、マーケティング外部利用を想定して商品データベースを設計しているわけではないので、そのままでは活用できないケースが圧倒的に多い。そのため、きちんとデータの整形などを行う中間処理をかませた上で各施策にデータ投入するという流れになる。この中間処理が肝であり、マーケティング外部活用した際の設計、プランニングや日本語の言語特性などを理解した上で変換ロジックを作らないとなかなかうまくいかない。


今後に向けて
マーケティングは非常に多岐に渡る施策をカバーしないといけない上に、それぞれが複雑に複雑になっている。また、部分的な最適化ではなく、全体で最適化をしていく必要がある。マーケティング受難の時代なのだ。成功するためには相当の労力は必要になる。自動化を推進し、効率化を図り、より頭脳を使う分析やプランニングに時間を充てることが求められる。

アメリカはこの分野では数年先もリードしている。実施した企業としていない企業との差が出やすい時代だ。必要なインフラであると理解し、いち早く取り組んでほしい。Slideshareをまとめたので、もう少し細かい点はそちらで確認してほしい。


2012年9月27日木曜日

Marketing at Your Fingertips

"Turn the dial"

急に思い出したので書き記しておこうと思います。

前職(G社)に入社しした2007年。東京で業種別営業チームの統括をやっていたのですが、米国本社では業種カットでクライアントカンファレンスをやり始めていました。例えば旅行業種のクライアント担当者(担当者向け、CMO向けなども分けたりしている)を招き、一日かけて色んな課題共有、プレゼンテーション、情報交換をしたり、と。業種に特化した深い話ができるので内容が濃く満足度も高いし、クライアントの戦略もよく理解でき、課題解決の糸口が見えてくるので、そういう意味でもお互いメリットが大きいのです。色々な業種向けにやっているので日本から参加したクライアントも多いでしょう。

で、IT業界向けのクライアントカンファレンスがあるということで日本から参加しました。その際に某世界最大手IT企業のCMOのプレゼンテーションがいまだにとても印象に残っています。オンライン/オフラインマーケティングの多様性とその対応についての話題だったのですが、

"As a CMO, I want to be able to see all of our marketing stats in one single marketing dashboard, whether it be online or offline"
(CMOとしては、全てのマーケティングのデータを、オンライン、オフラインに限らず、一つのマーケティングダッシュボードで見たいんですよね)

"and ideally, I want to be able to look at those stats and "turn the dial", so to speak, if I want to shift budget or make particular tactic perform stronger"
(その上で、特定の施策を強めたり、予算を施策間でシフトするのを「(指先で)ダイヤルをひねる」感覚でできると理想なんですよね)

この時点でもすごいと思っていたのですが、

"Actually, we are in moving in this direction and we're doing a fairly good job at it"
(実際我々はこの方向に向かっているし、なかなかいい感じになっています。)

と聞いて、え、ある程度できてるんだ!と驚いたわけです。2007年ですからね。さすが米国トップ企業。権限のあるCMOが飛行機のコクピットのようなコンソールを目の前に、ダイヤルをひねってマーケティングの全体施策を微調整する姿を想像しました。

僕の中でホリスティック、統合マーケティング、ダッシュボード、マーケティングオートメーション、アトリビューションの夢が広がった瞬間でした。

同時にここをきちんとやらないと日本企業は国際競争で確実に負けるなとも思いました。

実際これに近い取り組みをしている事例は聞くようにはなりましたね。

昔、MicrosoftのBill Gatesが"Information at Your Fingertips"(全ての指先に情報を)というスローガンを掲げてましたね。僕は"Marketing at Your Fingertips"というのもそう遠くない未来に実現すると思っています。でも未来になってもデータを読み解き、判断し、実行するのはあくまでも人であるという点は変わらないと思います(言うまでもないか)。

2012年9月21日金曜日

セマンティックウェブの課題


Quantum Leapではセマンティックウェブについても取り上げて行こうと思っている。が、しょっぱなからネガティブな意見に関する件だ。

A Call To Search Engines to Reduce Dependence on Microformats (Search Engine Watch)
http://searchenginewatch.com/article/2206850/A-Call-To-Search-Engines-to-Reduce-Dependence-on-Microformats

セマンティックウェブに対応するのは多くの企業にとっては難しすぎるというお話。
残念だがわかる。実際そうなのだ。

商品DBとCRM
企業の2大DBである商品DBとCRMをどうマーケティングで外部利用するかがテーマなのだが、この2つとも、そもそもマーケティング目的で利用するなど想定していないので設計をmicroformatsに合わせる「感覚」をマーケティング従事者は持ち備えていない。しかもシステムの管轄がIT部門の領域であることは多いので組織の壁にも打ち当たる。

セマンティックウェブに限った話ではなく、マーケティングとITを融合するシーンは増えており、それを理解する人材も必要だし、組織の壁を乗り越えられる体制や調整能力もものすごく必要だ。ボトムアップも必要だが、トップダウンも本来は必要で、意思決定できるCMO不在な日本の状況からなかなか難しく、ジャブが効いてきて国際競争の遅れにつながり始めるのはあまり先の話ではないと思う。個人的にはそれが心配なのだ。

2012年9月10日月曜日

Northwestern Universityの学生へのアトリビューションマネジメントのプレゼンテーション

先週9/7に、米国の名門校の一つNorthwestern Universityの大学院Medill校(IMC - 統合マーケティングコース)の学生さん29名、教授2名に対してアトリビューションマネジメントのプレゼンテーションを行う機会をいただきました。

IMC(Integrated Marketing Communications)に関しては米国のトップクラスの学校だそうです。教授はお二人。そのうちのJohn Greening教授は米国の大手エージェンシーDDB ChicagoのExecutive Vice Presidentで、有名なバドワイザーの"Frogs"CMなどを手がけた敏腕ワールドワイドアカウントディレクターだった方です。数年前にも別のテーマでプレゼンテーションをさせていただきました(確か日本のデジタルマーケティングのランドスケープの話だったか)ので数年ぶり2度目の再会でした。いつもにこやかで暖かく学生さんたちを見つめる先生です。

毎年のように学生さんを率いて日本を含むアジア数カ国を周り、メーカーや広告代理店などの企業訪問をして現場の話を聞いているそうです。そんな中、お話しする機会をいただけたのはむしろとても光栄でした。

統合マーケティングはアトリビューションマネジメントの上位に位置する概念だと考えていますし、一定の職業経験を経て大学院に参加している猛者たちを前にどんな話が役立つんだろうと準備にはやや四苦八苦しましたが、やはりアトリビューションマネジメント自体が新しめの取り組みで基礎編(101)からで大丈夫とのことなので、その方向性でまとめました。

その際の資料の一部をSlideshareにアップしています。


Medill校では統合マーケティングにおけるデータの重要性をとても理解しているので、SPSSなどのツールを使った統計解析のアサインメントはかなりやるそうです。アサインメントは大変だと聞きましたが将来絶対に役に立つだろうと思います。むしろそんなことができてうらやましい!僕も大学の時にもう少し統計解析をやっておけばよかったと今思います。

スライドには入れてませんが最後に僕から学生さんたちへのメッセージを伝えました。

  1. まずはIMCで勉強していること自体がすばらしい!なぜならIMCは今後ますます重要になるわけで(米国のCMOのトップ3の感心事ですよ!)皆さんは将来のマーケティングの重要なポジションを担うことになるから。
  2. データ、数字、解析は重要。IMCの感覚とデータ解析の両方ができれば鬼に金棒。でもデータにとらわれすぎないこと。シンプルなところから入ることも大事。
  3. バランス感覚を持とう。専門性の深堀りをしつつ、ホリスティックに、統合的に、連携的に見て動けること。鳥の目と虫の目の両方を持ち合わせること。
プレゼンが終わった後、学生さんが4-5人こちらに来てくれ、とてもおもしろく役立ったと感想を言ってくれました。ああよかった(ホッw)。名刺交換もしたので将来どこかでまた会えるといいなと思います。企業やエージェンシーなどでIMCスペシャリストになったり、IMCの知識をもったデータサイエンティスト職に就く人もいるんだろうな。一緒に仕事ができればすごいことですね。ありがとうございました& Good luck to all of you!

プレゼン聴講の様子。

教授のお二人。2週間に渡る引率お疲れさまでした。
嬉しいカードホルダーのプレゼントをいただきました。愛用します。

2012年9月9日日曜日

Google Authorship Markup設定方法

Web担当者Forumさんでもコラムとして掲載いただいている内容と同じものですがパワーポイント版を時間差で公開します。

リッチスニペット/セマンティックウェブの動きはschema.orgの動きと共に着実に前進しています。個人的にはインターネット全体にとって重要な取り組みであると考えていますので、セマンティックウェブ関連についてはちゃんと書こうと思ています。

Google Authorship Markupはschema.orgのauthorメタではなく、HTML5のrel属性とGoogle+のプロフィール情報を掛け合わせた、ちょっとGoogle独自のエッセンスが入っている取り組みです。Google+の利用推進を目論んでいるものですが、それでもなかなかよいと思っています。

Google Authorship Markup設定方法 from Go Sugihara


Web担当者Forumさんの掲載コラムはこちらです:

グーグルの検索結果に「著者」として自分の名前と写真を出すGoogle Authorship Markupの設定方法(Web担当者Forum)
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2012/09/06/13440

2012年9月4日火曜日

SES San Francisco 2012報告


今年もSES San Francisco 2012に行ってきました。もう7-8年位は行っていますが、ここ数年はソーシャル、ディスプレイなどがハイライトされ、サーチに特化したカンファレンスとしては内容にブレが目立っていたのとサーチ単体での大きいレベルでのイノベーションの減速もあり、今後も毎年参加すべきかを自らに問う年と位置づけて臨みました。

結論から言うと今年も行ってよかったです。テーマは明確になり、カンファレンス運営側の改善もあり、とてもいいカンファレンスだったと思います。

先日2012年8月23日にTATEITOさんのDigital Marketing Tribe Summer 2012イベントでSES参加報告をしました。資料をSlideshareで公開していますので、こちらをご一読いただきつつ、少し細く説明します。


【15-16ページ】
毎年カンファレンスの大きなテーマを見つけるようにしています。カンファレンス側からは提示されませんので、セッションやExpoホール(ブース展示)からトレンドや流れをつかみ取る作業です。ここ数年はソーシャル、ディスプレイ、アトリビューションでした。今年は明確にアトリビューション、統合マーケティング、ビッグデータでした。特にビッグデータですかね。ビッグデータに特化したセッションは多かったです。アトリビューションは当たり前になっていました。もちろんイノベーター層の取り組みが日本よりは進んでいるというレベルで、皆、どうモデリングするのがいいのか?分析を行うデータサイエンティスト不足の問題はどうする?など課題となる点は同じでした。統合マーケティング(IMC)はホリスティックの流れを引き継ぐ形でした。もちろんIMCは以前からある概念ですが、メディアフラングメテーションが進む中で、いよいよ本腰入れて検討しないといけないフェーズにきたんだと思います。

【18ページ】
あるビッグデータ関連のセッションで、分かりやすいビッグデータ活用の例として紹介されていたColor Forecast。なるほどおもしろい発想です。このサイト自体、どちらかというと実ビジネスを行うサイトというよりはPOC-Proof of Concept(新しい概念や理論、原理などが実現可能であることを示すための簡易な試行)だと思いますが、ビッグデータで何ができるか、アイデアが膨らみます。
http://www.pimkiecolorforecast.com/

【22-23ページ】
ビッグデータ関連ソリューションがマーケティング分野でも既に出揃ってきていることにまず驚きました。しかもどれも非常に有用性が高そうなものばかりです。共通項としてはビッグデータ解析データにより「User Intent(ユーザーの意図)」を精度高く予測し、Relevance(関連性)の高いコンテンツや広告をリアルタイムに生成・配信し高い効果を見込むということでした。
個人的に最も有望そうに見えたのはBloomReachですね。SEOなどは大きなインパクトを受けるかもしれません。TechCrunchが分かりやすく解説してくれているのでご一読ください。
ビッグデータ分析によりページをリアルタイムで“個人化最適化”するBloomReachはSEO/SEMの未来形だ
http://jp.techcrunch.com/archives/20120222bloomreach/

【ビッグデータ関連ソリューション企業リスト】
OneSpot http://onespot.com/
DataPop http://www.datapop.com/
BloomReach http://www.bloomreach.com/
Runa http://www.runa.com/

【24-26ページ】
統合マーケティングは米国のCMOの興味があることリストの中では3番目にある。興味があり、大きな悩みである。サーチのカンファレンスなのでサーチ寄りの視点ですが、統合マーケティングの中でのSEMの価値は最も高いとのANA(Association of National Advertisers)のリサーチ結果が出てました。特筆すべき点としては取り組みの早い企業と遅い企業では結果の差が大きくなるリスクがあるということ。プロジェクトマネジメントの問題(人、プロセス)、データサイエンティスト不足の問題など課題は多いですが、着実に統合的・ホリスティックにマーケティングを実施する方向へは向かっている印象を受けました。アトリビューションは統合マーケティングを行う上での取り組みの一つということになるかと思います。

【27ページ】
カンファレンスを通じて元気そうな企業の一つにQuantcastが挙げられます。元々はオーディエンス測定およびターゲティングを専門にした会社ですが、保有する独自の豊富なデータ(優良なサイト訪問者データと大量のパブリッシャー側データ)を解析し、リアルタイムにlookalikeオーディエンスを予測しカスタムモデルを構築。そのデータを活用しRTBもできるというものです。定義済のセグメントデータではなく、機会学習型で最も効果の高いオーディエンスに近いモデルを作成していくことと、すべてはサードパーティのデータではなく自社データなので、フレッシュなデータをリアルタイムに処理できる点から効果が高いとされています。その高い効果からもCPA課金を実現していると思われます。Awareness, Consideration, Conversionの全てのファンネルで使えるPerformance Displayと言えそうです。
http://www.quantcast.com/

【28ページ】
カンファレンスの総括としては、ビッグデータがもてはやされている時代で大いに結構ですが、長年ITの世界も見てきた身としては、CRMや商品DBなどの構造化データでさえまだまだ活用しきれていない状況かと思いますので、一足飛びにビッグデータ(構造化/非構造化データ、大量、リアルタイム)には飛びつかず、まずは足元から徐々に、しかしながら積極的に攻めていくことが肝要かと思います。
あと、人の問題は本当に世界的なのだと思いました。リスティング広告に限らず、他の施策も複雑化しているのでエキスパート化は必要ですが、深堀しつつも俯瞰して施策全体を見る。「虫の目と鳥の目の両方を持つ」という表現をしましたが、本当にそれが求められる難しい時代、でもおもしろい時代だなと再認識した次第です。あと、テクノロジーは避けられないですね。テクノロジーは全てを解決しないのは自明で、テクノロジーと人がどう補完し合えるかを考えて、最大限活用できる人が求められていると思います。

【おまけ画像】
ビッグデータのセッションでおもしろいと思ったスライド。データ大爆発を毎日の1分間で起きることでまとめています。

【毎分起きること】
Google 2,000,000回のクエリー
YouTube 48時間分の動画のアップロード
Facebook 684,478のシェア
Twitter 100,000ツイート
Apple 47,000のAppダウンロード

【おまけ14ページ】
ちょっと戻りますが、今年は日中はガンガン海外の人と積極的に会話し、セッションでも質問し、セッション後に名刺交換したり追加質問したりしました。セッションは50分程度なのでサマリーでしかない場合も多く、それ以外の時間のほうが深い話が聞けます。そして色々な学びもありましたし新しいビジネスにつながったりもしました。
そして夜は日本から参加した方たち食事しながらの意見・情報交換。これが本当に貴重なんです。すべてのセッションは回りきれませんし、話し合うことで新しい視点も学べます。西海岸くんだりまできて何かを学び持ち帰ろうとする「猛者」たちですから当然話も熱くなるわけです。カンファレンス参加の最も大きな収穫の一つといっても過言ではありません。
来年も僕は参加しますので、興味を持たれた方がいましたらぜひご一緒しましょう!

Quantum Leapブログを始めます


新しくブログを開始することにしました。

ATARA CEOブログというものが既にあるのですが、少し雑多な話題を取り上げていることもあり、もう少しテクノロジーにフォーカスした形の場が欲しいと思っていました。

当面の興味は各種マーケティング・オートメーション、データフィード、セマンティックウェブ周りが中心になるかと思いますが、これに限ったものではありません。

ブログ名であるQuantum Leapはとても好きな言葉です。本来は「量子跳躍」と訳される量子力学用語で、原子のエネルギー準位が瞬間的に変位する現象を指します(wiki参考)。ビジネス英会話でも比較的よく使われるフレーズで「飛躍的進歩、大躍進」という意味で活用されます。
また、非常に好きだったアメリカの人気TVドラマの「タイムマシーンにお願い」の原題でもあります。科学者である主人公がQuantum Leapという名のタイムトラベルを繰り返し、その時代の人々を助けるSFです。

あくまでも飛躍的進歩したテクノロジーを取り上げるのではなく、ビジネスの飛躍的進歩を実現するテクノロジーについて取り上げていければと思っています。